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子供と英語絵本のある暮らし

英語絵本がいっぱいの子供英語教室 Kashiwagi English Roomから~

パピーの先生 

 

今日は、パピーの幼稚園の発表会でした。
ここ2ヶ月近く、幼稚園では本当によく練習したようです。先生方のご指導は生半可なものではなかったでしょう。
合奏、ハーモニカ、歌、そして劇。
不器用で、物事にあまり積極的でないパピー、最初はどれひとつ満足にできなかったと思います。

どれも基本的に幼稚園でのみ練習するものなのですが、ある金曜日の帰り、パピーの鞄の中に、ハーモニカが入っていました。
担任の先生からメッセージ。
「発表会の曲。だいたい出来ているんですが、あと、もうちょっとなんです。この週末にちょっとおうちで練習してみてください」
吹かせてみたら、なるほど。出来ない。
私はパピーが4小節でも、歌らしきものを奏でるだけで、「幼稚園児なんだから、『パピー』なんだから、こんなもんちゃうん。」ぐらいに思っていました。
ところが先生は「いえいえ、あとちょっとだから。」と言って下さる。
よし。もちっと、頑張らせてみるか。と思い直す私。

実は、運動会のクラス対抗リレーのときにも似たようなことがありました。
皆を勝たせようと燃えている、明るくて元気な先生。
「『おうちでも、リレーの練習してね』って先生に言われた」
とパピーが言うので、そのときはびっくりしました。
パピーって子は、元々どんくさい。早く走れと言っても、はなから無理な話だと思っていました。
その頃の私の頭の中。
「出来れば、ビリでバトンを受け取って欲しいなあ。トップでバトンを受け取って、パピーで抜かされてビリになって次へ交代、なんて、ちょっと不憫だもん。」

ところが先生は、とてもとても真剣にそして少しずつパピーに教えてくださったのでした。
早く走る方法を、ではありません。
どうしてリレーは一生懸命走らなきゃいけないのか。リレーで一番大切なことは何か。皆が応援している声が聞こえるか。
そして、私に言われました。
「パピーくんには、皆で一生懸命力を合わせて、勝つことの喜びを知って欲しいんです!!!」
…私は、後ろ向きだった母親としての自分を、恥じ入るばかりでした。
先生の熱い思いが伝わり、パピーは少しずつ変わっていきました。
「皆が、パピーくん頑張って~って声を掛けてくるんだよ」と嬉しそう。
先生が真剣だからこそ、子供たちも真剣になって返してくるのですね。そして、この先生が持つ、厳しいながらも深い愛情は、まるで母親のそれのようだと、私も分かってきました。
リレーに勝つことを目標にして頑張るけど、大事なのはその過程。
園児なんだからそこまでやらなくても、と言ってしまえば、子供は何も変わらない。最後に負けても、この子達はきっと何かを得てくれるはず―そんな先生の信念のようなものが、私には感じられたのでした。
子供ってこうやって育てていくんだ、引っ張っていくんだと、私も先生に段々に教えられました。

そして今回は、発表会。
ハーモニカを渡されたとき、先生が再びパピーを出来る所まで伸ばそう、として下さっていることを、すぐに感じました。たかがハーモニカ、されどハーモニカ。
「パピー、結果はともかく、とにかく一生懸命練習してみようね。」
パピーがその曲を間違いなく最後まで吹ける確率は、ミキティの4回転サルコウぐらいでした。
週末が明け、今度は私の方から「ハーモニカ、持ち帰らせてください」とお願いして、何日か家で練習させました。
なんとか、真央ちゃんのトリプルアクセルの確率くらいで成功するようになりました。

劇でも、今回ステキな「悪役♪」を頂いたというのに、最初は声も出ず、やる気もあまり見られなかったのではないかと思います。
でも、少しずつ変わっていっているのは、毎日送り迎えのときにちらっと会う先生とのお話で、感じていました。
家では自分の役のことをあまり話してくれなかったけど、大丈夫、先生がパピーを見守っていて下さるから、と信じて、当日が来るのを楽しみにしていました。
それが今日だったのです。

ところが前の晩。

真夜中に、パピーは突然、「吐きそう!」とトイレに駆け込み…、朝まで何度も嘔吐しました。登園時間になっても、まだ少しぐったりとしていました。でも熱はありません。
発表会の最中にまた嘔吐したら先生にご迷惑だろうと思ったけれども、これまでの頑張りを思うと、とても休ませる気持ちになれませんでした。
朝、体調のことをお話して先生にパピーを引き渡し、あとは客席から見守るしかない、と決め込みました。

開演。

どの子も本当に一生懸命で、輝いています。舞台の上、自分達を見つめる、驚くばかりの数の大人の目。怖くはなかったでしょうか。
小さい年少さんの頑張りも健気だったけど、年中、年長さんになると、その完成度には驚くばかりで、心のこもった合唱には目頭が熱くなりました。こんなステキな歌詞…本人達は意味わかっているのか、分かっていないのか、だけど(笑)

パピーの演目はプログラム最後。
いつも頼りないと思っていた息子の、私の知らなかった、たくましい一面を見ることが出来ました。顔を見たら、いっぱい誉めてあげよう、と思いました。

幕が下りて、他のお母さん達と「良かったねー、良かったねー」と言いながら子どもを教室へ迎えに行くと―。
先生がパピーの手を引いて、飛んできました。
「パピーくん、やっぱりあれから何度も吐いちゃったんです。熱も出てきて、補助の先生がついててくれたんですが。それでもこんなに頑張ったんです。
ね、えらかったね、パピー君。本当に頑張ったね。先生は嬉しかったよ。」
そうパピーに声を掛けてくださる先生の目から涙がこぼれているのを見て、私はたまらなくなりました。

夫とパピーと私。3人の帰り道。
先生が作って下さった劇の衣装のままのパピーは、夫の背に負われて、しんどそうにずっと目を閉じていました。
その顔を見ていると、私も歩きながら涙を止めることができませんでした。
「よく頑張ったね。とっても上手だったよ」
それを言うのが精一杯…。

先生、ありがとうございました。
幼稚園最後の年、こんな愛情深い先生に巡り会えて、私もパピーもとても幸せです。
パピーは先生のことが大好きです。
AUTHOR: 由里子 EMAIL: oak@ma.medias.ne.jp URL: http://www.geocities.jp/kashiwagienglish/ IP: 219.118.137.122 DATE: 12/10/2007 21:00:07 ★マサミさん、こんにちは! 私がケンキョ…うーん、いやいや、いつもフラフラしてばかりの私です。 逆に私は、マサミさんの母親としての信念の強さを、いつも眩しい思いで見ています。これからもいろんなことを、学ばせて下さいね。 でも今年、ステキな先生に巡り会えたことは、確かに神様に感謝です。{プレゼント} あんなに小さなmasami's boyも発表会ですか!ドキドキ、ですね。 それにしてもあの、発表会のビデオやカメラの数、子供たちは平気なのでしょうか? 私が今までの人生で、たくさんのカメラを一斉に向けられたことあったかしら? あ、結婚式のケーキカットの瞬間ぐらいだな。 マサミさんもHappy Christmas!
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category: 息子のこと(iroiro)

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コメント

 

バビー君頑張ったね。
由里子さんが泣いてしまったのも
よくわかります。私だってお話読んでいてなきそうになりました。
ほんと子どもって親が思っている以上に心も体も成長していくんですよね。
うちも下の娘が作品展で一人だけなかなかマフラーが編めなかったんです。
作品展の2日前の夜、なきながら
「ひなだけ出来てないんだ」とポツリ。
私は「あきらめちゃうのは簡単だけど、できるところまでがんばってみればいいよ。未完成でも見に行くから」と。
それで今日幼稚園に行くと、しっかりマフラー編めてました。
担任の先生と話が出来て「先週まではなかなか続けて編むことが出来ず、ちょっと編んでは休憩だったんだけど、昨日は他の先生と感心してしまうほど集中して作り上げてました。驚きました」
それを聞いてわたしもちょっとウルっとしてしまいました。
下は上の子と違ってなんとなく心配なんですよね。だからついつい甘やかしてしまうこともあり、それではいけないと思っているんですが・・・でもそんな彼女も自分なりに頑張っているってことを実感した
日でした。
ほんと子どもの成長ってすごいですね。これからもどんな風になっていくのか楽しみです。

kaoru #79D/WHSg | URL | 2007/12/08 20:02 | edit

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